SmokeOut
アイドル
更新: 2025/10/9

Aぇ! group草間リチャード敬太さん報道の“とばっちり”は、どこから始まった?

Aぇ! group草間リチャード敬太さん報道の“とばっちり”は、どこから始まった?

☕️ 「とばっちり」って、軽く言うけどけっこう重くない?

10月9日、西スポWEB OTTO!の記事タイトルに、こんな一文が並びました。

「草間リチャード敬太の逮捕で“大先輩”に思わぬとばっちり」

Aぇ! groupの草間リチャード敬太さんが逮捕された。

そこまでは、ニュースとして理解できます。

でも記事を読み進めると、なぜか話題は紅白歌合戦の司会候補(?)・村上信五さんに飛びます。

え、なぜ急に紅白?

もはや「連想ゲーム」レベルの展開です。


🔍 事件→紅白→司会…その間に“論理”はあるのか?

記事の流れを整理してみましょう。

A:草間さんが逮捕(事実)

B:紅白出場が消滅した(推測)

C:村上信五さんの司会にも“黄信号”(憶測)

はい、これ。

まず、AとBのあいだ、論理ゼロです。

紅白の「出場消滅」なんて、誰も発表していません。

「取り沙汰されている」「限りなく低くなった」という言い回しだけ。

つまり、空気でつないでます。

ここで発動しているのが、

  • A→B:non sequitur(論理的飛躍)
  • B→C:slippery slope(滑り台論法)

という“誤謬コンボ”。

論理の橋じゃなくて、感情の吊り橋効果で読者を渡らせてる感じです。


💬 「関係者が語る」って、誰?

この記事のもうひとつの魔法の言葉、それが「関係者」。

「前出の業界関係者」

「芸能プロ関係者」

といった匿名発言が次々に出てきます。

でもこれ、誰か分からないまま信用させる技法です。

レトリック名で言うと 「権威への訴え(appeal to authority)」。

“誰かが言ってた”を出すだけで、読者の頭の中に“信頼っぽいもの”を作る。

IFJ倫理憲章 はこう警告しています。

匿名情報は「公共の利益」のためにのみ使うべきで、匿名の理由を説明しなければならない。

でもこの記事では説明ゼロ。

匿名の数だけ、物語が濃くなる仕組み。

関係者とは


🧠 “とばっちり構文”の本質:罪のエリア拡張

この構文が危険なのは、「悪いことが起きた」だけで終わらず、

「誰が困ったか」まで勝手に広げるところです。

草間さんの件をきっかけに、紅白出場、司会、事務所の信頼——

まるで一連のドミノ倒し。

けれど実際には、その多くが想定や憶測の域を出ていません。

UNESCO報道倫理ガイドライン は、

「一個人の行動を他者の損失と結びつけることは、報道の中立性を損なう」

と明記しています。

“罪の連鎖”を描いているようで、実際は“ニュースの拡張パック”を作っているだけ。


🌐 感情の波で人をつなぐバンドワゴン

そしてお決まりの一文。

「X上でも嘆きの声が聞かれる」

はい出た。バンドワゴン効果(bandwagon effect)です。

“みんな嘆いてる”と書かれると、つい「そうなんだ」と思ってしまう。

でも、その「みんな」は何人なのか、誰なのかは不明。

声の数もバランスも示されないまま、“世論のような何か”に化ける。

ニュースが感情を媒介にして読者を巻き込む構造、

これがSmokeOutで言う「感情連鎖構文」です。

Council of Europe「Resolution 1003」 も警鐘を鳴らしています。

「報道は感情を利用するのではなく、理解を促すものでなければならない」

つまり、記事の“黄信号”は村上さんじゃなくて、書き方そのものに点灯してませんか。


🪄 見出しリライト:とばっちりを止める

元タイトル:

「草間リチャード敬太の逮捕で“大先輩”に思わぬとばっちり…有力視された『紅白歌合戦』司会にも黄信号」

🌤 改善案(SmokeOut基準):

草間リチャード敬太さん逮捕 関係各所が対応を進める

“黄信号”は止めよう。その言葉ひとつで、誰かが「連鎖の中の被害者」にされてしまう。

ニュースは、ブレーキを踏む側であってほしい。


🌻 まとめ:「とばっちり」って、ほんとに“報道語”なの?

誰かの過ちが、別の誰かの“印象の損失”に変換されていく。

でも、それって事件の話じゃなくて、「書き方」の話じゃない?

ニュースは、誰が悪いかを広げる装置じゃなく、“どこまでが事実か”を見極める羅針盤のはず。

SmokeOutは、火のないところに立つ煙を消すために頑張ります。

この記事は役に立ちましたか?

記事を読み終えた感想を教えてください

SmokeOut について

火のないところに立つ「煙」を晴らす。私たちは憶測・煽り記事の事実認定ではなく、 伝え方=表現・文脈・論理の運びを可視化するメディア分析プラットフォームです。

関連する分析記事

同じカテゴリの記事や関連する表現分析